多ければいいというわけではない:現代のワークロードにおけるメモリ選択の再考
2025-07-14更新

クラウドが教えてくれた「コアあたりメモリ量」の重要性 — AMD EPYC™ CPUがデータセンターに柔軟性をもたらす理由データセンターのサーバー調達において、多くの企業は「メモリは多ければ多いほど良い」という単純な考え方を持ちがちです。しかし、ワークロードが複雑化し、システムが1ソケットあたり数百コア規模に拡大すると、過剰なメモリ搭載によるコスト増加が問題になります。そこで、「合計メモリ量」ではなく「コアあたりどれだけのメモリが必要か」を再考する必要が出てきました。
AMD EPYC™ 9004および9005シリーズプラットフォームは、12チャネルのメモリサポートによって他に類を見ないメモリチャネルの柔軟性を提供し、パフォーマンス・コスト・消費電力のバランスを考慮して最適なインフラ構築を可能にしています。
メモリの誤解:総容量だけでは性能は測れない
メモリは性能にとって重要ですが、DIMMスロットを無計画に最大限まで埋めることは、予算の無駄遣いや性能向上の頭打ちを招くことがあります。
メモリが不足すると安定性や性能問題を引き起こしますが、多すぎても使い切れない容量のために余計な費用を払うことになります。加えて、メモリの価格は線形的ではなく、たとえば128GBのDIMMは64GBや96GBモジュールに比べて1GBあたり3~4倍のコストがかかることもあります。
賢い判断をするために
組織は「総メモリ量」ではなく「コアあたりメモリ量」で考えるべきです。ワークロードによって必要なメモリ量は異なり、AIやEDA(電子設計自動化)、VDI(仮想デスクトップ環境)、分析など、多様な用途に応じて最適なバランスを見極めることが重要です。
「できるだけ多く」ではなく、「ワークロードに最適な量」が真のスイートスポットとなります。
1DPC vs. 2DPC:コストに影響を与える静かなトレードオフ
メモリチャネルあたりに何枚のDIMMを配置するかも重要なポイントです。
- **1DPC(1チャネルあたり1枚のDIMM)**は最適な速度と性能を維持しやすい設定です。
- **2DPC(1チャネルあたり2枚のDIMM)**は容量を増やせますが、信号干渉や電気的な複雑さが原因でメモリ帯域幅が低下し、性能面で妥協を強いられることがあります。
AMD EPYC 9004/9005シリーズの優位性:柔軟性に特化した設計
- 1ソケットあたり最大12メモリチャネルを搭載しているため、1DPC構成で帯域幅と容量の両方の目標を達成できるケースが多く、2DPCによる性能低下を回避可能。
- デュアルソケット構成では最大24スロットに対応し、7種類のメモリチャネル構成オプションから柔軟に選択可能。
- 標準DIMMで最大3TBまでサポートし、特殊なメモリを使わずに大容量を実現。
この柔軟性により、高コストで効率の悪いメモリ構成に縛られることなく、ワークロードに最適な環境を作れます。
パブリッククラウドの例え
クラウドではCPUあたりのメモリ容量(例:vCPUあたり2GB、4GB、8GB)に応じてインスタンスを選びます。同じ考え方がオンプレミスのサーバーにも適用可能で、AMD EPYCはコスト効率よくバランスの取れたシステム設計を容易にします。
チャンネル数が多いことで得られるメリット
多くの競合プラットフォームはCPUあたり8メモリチャネルしかなく、8チャネル以上の容量を必要とする場合は2DPC構成が必須となり、結果としてコスト増や性能低下を招きがちです。
一方、AMD EPYC 9004/9005シリーズは12チャネル対応により、高帯域幅を維持しつつ容量目標を達成可能。AMDのアーキテクチャはメモリ速度の面で常に先端を走っており、DDR5の高速化が進む今後も高性能ワークロードの基盤として最適です。
AI推論、大規模VM運用、構成可能インフラのいずれにおいても
パフォーマンス、コスト効率、またはその両方を優先したシステム設計を自由に行えます。
賢いメモリ構成が重要
「メモリをただ増やせばいい」という時代は終わりました。AI推論のスケールや企業のVM管理において、本当に重要なのは適切なコアあたりメモリ比率です。
AMD EPYC 9004/9005シリーズは12チャネル構成、標準DIMMサポート、そして1DPCでの高効率性能により、無駄な過剰設計や過剰支出を避けつつ、ワークロードに最適なメモリ構成を実現します。
ぜひAMDに相談して、最適なメモリ構成を検討してみてください。