AIの未来を切り拓く:AMD ROCm 7 と AMD Developer Cloud のご紹介

2025-07-14更新

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AMD Advancing AI

概要:

  • AMD ROCm™ 7 は、AI 分野において大幅なパフォーマンス向上、分散型推論、エンタープライズ向けソリューション、そして Radeon や Windows への幅広い対応を通じて、オープンソースコミュニティとの協業のもと進化を遂げています。
  • AMD Developer Cloud は、事前構成された環境と無償クレジットを活用し、ハードウェア不要で AMD Instinct™ MI300 GPU に即時アクセスできるため、AI の開発と展開をスムーズに行えます。
  • 拡大を続ける AMD の AI エコシステムは、スケーラブルでオープンな AI イノベーションにおいて、ROCm の実践的な採用事例を示しています。

開発者こそが最優先。それが、ROCm™ 7やAMD Developer Cloudにおける私たちのすべての取り組みをかたちづくる信念です。なぜなら、AMDは単にAIツールを開発しているだけでなく、「あなたのため」にそれを作っているからです。

あなたが、初めてのLLM(大規模言語モデル)のアイデアに取り組む大学院生でも、次世代のアテンションメカニズムを調整する研究者でも、あるいは本番ワークロードをハイパースケールで動かすチームでも、私たちはあなたの作業をもっと簡単に、もっと速く、そしてもっと良くすることを目指しています。ROCmを、あらゆる場所へ、すべての人へ。

この1年で私たちは、主要なモデルやフレームワークにおける推論・学習機能の強化と、ユーザー層の拡大に注力してきました。開発者支援への取り組みの結果として、すぐに使える機能の向上、セットアッププロセスの簡素化、そしてコミュニティとの連携強化が実現しました。その結果、ユーザーはかつてないスピードでAI機能を導入しており、それに応える形で私たちは新機能のリリース頻度を加速させています。Llama 4、Gemma 3、Deepseekといった最新モデルにも、初日から対応しています。
オープンソースコミュニティとの連携もかつてないほど強固になっており、開かれた革新的なAIエコシステムづくりへの私たちの決意を示しています。

Advancing AI 2025では、私たちはひとつのビジョンを共有しました。それは単なる性能グラフやスペックの話ではなく、「誰でも」「どこでも」アクセスできるAIの可能性について。
GitHub IDさえあればMI300XクラスのGPUを使えること。ROCmをpip installひとつで導入できること。ゼロからTritonカーネルのノートブックを数分で立ち上げられること。

ROCm 7とAMD Developer Cloudにより、そのビジョンは現実となりました。オープンで、スムーズで、あなたの思い通りにAIの未来を創り出せる環境です。

ROCm 7:開発者支援と大規模AIパフォーマンスを加速

ROCm 7.0 により、AMDはアルゴリズムからインフラストラクチャに至るまで、あらゆる層でAIのイノベーションを加速させ、ソフトウェアスタックに「真の競争」と「オープン性」を再びもたらします。
ROCm 7.0 は、拡大を続ける生成AIやHPC(高性能コンピューティング)ワークロードのニーズに応えるべく設計されており、アクセシビリティ、効率性、そして活気あるコミュニティとの協働を通じて、開発者体験そのものを刷新します。

そして今回、新機能と強化ポイントが満載の ROCm 7 が、2025年第3四半期に一般公開されることをお知らせできることを、私たちは大変嬉しく思います。

以下に、まもなく登場する注目機能の一部をご紹介します:

パフォーマンス向上:
ROCm 7 は、前バージョンの ROCm 6 と比較して、推論性能で3.5倍以上、学習性能で3倍の飛躍的な向上を実現しています。
この成果は、使いやすさの向上、パフォーマンスの最適化、そして FP4 や FP6 といった低精度データ型への対応強化によるものです。さらに、通信スタックの改良により、GPU の活用効率とデータ転送の最適化も進められています。

分散推論:
ROCm 7 では、SGLang、vLLM、llm-d などのフレームワークを含むオープンソースエコシステムとの協業を通じて、強力な分散推論機能が導入されました。オープンな戦略を採用し、これらのパートナーと共にインターフェースやプリミティブを共同開発することで、AMDプラットフォーム上での効率的な分散推論を実現しています。

エンタープライズAIソリューション:
ROCm Enterprise AI は、企業環境におけるスムーズなAI運用を支える堅牢なMLOpsプラットフォームとして新たに登場。業界特化データによるモデルのファインチューニングツールや、構造化/非構造化ワークフローとの統合に対応しており、チャットボットやドキュメント要約といったリファレンスアプリケーションの開発を支援するパートナーシップも強化されています。

Radeon・Windows対応:
クラウド環境を超えた開発体験の拡張として、ROCm 7 は Ryzen 搭載のノートPCやワークステーションにも対応。クラウドからクライアントまで一貫したイノベーションを可能にします。
2025年後半には主要ディストリビューションへの対応が予定されており、Windowsが正式にサポートされる第一級のOSとして位置付けられ、家庭・企業の両環境における移植性と効率性が確保されます。

Accelerating Inference Performance Chart

図1:ROCm 7 は、AI推論性能において大幅な向上を実現¹

Accelerating Training Performance Chart

図2:AIトレーニングにおいて、ROCm 7 は ROCm 6 と比較して平均3倍の性能向上を実現²

オープンなAIエコシステムを支えるパートナーシップ
ROCmエコシステムの主なパートナー企業:

  • Meta(メタ):Llamaモデルを含むランキング、レコメンデーション、コンテンツ生成ワークロードを、ROCmによる改善を活かしながらAMD Instinct GPU上で実行。
  • Microsoft(マイクロソフト):Azure上で、Instinct MI300Xを活用し、独自およびオープンソースのAIモデルを本番環境で稼働中。
  • Red Hat® OpenShift® AI:ハイブリッドクラウド環境向けに、Red Hat OpenShift AI 上でのROCmによるスケーラブルなLLM推論とAI運用を実現。
  • Cohere(コヒア):1040億パラメータのCommand R+モデルを、vLLMおよびROCmを用いてAMD Instinct GPU上で展開し、エンタープライズレベルの推論に対応。

このような深いパートナー協業により、開発者は最高水準のツール群、継続的な性能向上、そして迅速な反復と展開を可能にするオープンな環境を手にすることができます。

AMD Developer Cloud:世界水準のコンピューティング環境へスムーズにアクセス
ROCm 7 を補完する形で、AMD Developer Cloud は、世界中の開発者やオープンソースコミュニティに広く提供されています。
この完全マネージド環境では、AMD Instinct MI300X GPU に即時アクセスでき、ハードウェア投資やローカル環境の構築は一切不要です。

AMD Developer Cloud の特長:

ゼロセットアップ環境:
クラウドベースの Jupyter Notebook を即起動可能。インストール不要で、GitHub アカウントまたはメールアドレスだけで簡単に利用を開始できます。

事前構成されたDockerコンテナと柔軟性:
人気のAIソフトウェアがプリインストールされた Docker コンテナを提供。セットアップ時間を大幅に削減しつつ、ニーズに合わせたコードのカスタマイズにも対応できます。

MI350 システムのDay-0サポート:
vLLM、SGLang、HAO AI Lab、スタンフォードAIラボなどのエコシステムと共に、MI350システムを初日から提供開始。
PyTorch や Triton CL 向けの Instinct MI350 Ci にも Day-0 対応しています。

スケーラブルなコンピュートオプション:

  • スモール構成: MI300X GPU ×1(GPUメモリ192GB)
  • ラージ構成: MI300X GPU ×8(GPUメモリ1536GB)

無償の開発者クレジット:
最初に25時間分の無料クラウドクレジットを提供。さらに、ROCm Star Developer認定プログラムなどを通じて、最大50時間の追加クレジットが利用可能です。

拡大するAIエコシステムによって支えられるAMD Developer Cloud

AMD Developer Cloudの特徴は、単なるインフラだけでなく、それを支え、共に成長する活気あるエコシステムにあります。

Announcing AMD Developer Cloud
Developer Cloud エコシステムのハイライト:

  • OpenAI、Midjourney、Hugging Face:
    これらの先進的なAIイノベーターは、AMDと協力して推論および学習ワークフローの加速に取り組み、実環境でのスケール性能と実用性を示しています。
  • Red Hat® OpenShift® AI + AMD:
    ROCmを活用したOpenShift AIにより、KubernetesネイティブのAIライフサイクル管理と安全なハイブリッドクラウドサポートを提供。
  • Berkeley Sky Computing Lab & vLLM:
    AMD Instinct GPUとROCmスタックを用いた分散推論の研究開発でAMDと連携。
  • Cohere と Modular Inc:
    ROCm搭載のAMDハードウェア上で企業向けLLMを展開し、最適化されたAIインフラを構築。

これらの協業は、AMD Developer Cloudが単なる計算プラットフォームを超え、次世代AIイノベーションの発進基地であることを示しています。
エンタープライズの導入からオープンソースの実験まで、増え続けるAMDパートナーのネットワークが、すべてのクラウドユーザーに提供されるツールやサービスの形成に積極的に関わっています。

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