導入事例 -【Blur Studio】レンダリングを高速化し制作環境を強化
2023-09-06更新
Blur Studio、AMD Ryzen™ Threadripper™ CPU でクリエイティブ制作環境を強化
AMD Ryzen™ Threadripper™ プロセッサーでレンダリングを高速化すればクリエイティブ制作物の品質が向上します。
【概要】
業界:メディアとエンターテイメントのアニメーションと VFX
課題:アニメーション制作プロセス中のテストレンダリング時間を短縮する
解決策: AMD Ryzen™ Threadripper™ CPU ベースのワークステーションを導入する
結果: アーティストは作業を続けながらレストレンダリングをローカルマシン上で完了し、品質を向上させることができます。
お客様の声:「デュアル Xeon を搭載したワークステーションを構築するには、プロセッサーの費用として20,000ドルかかりますが、Threadripper™ 3990WX なら4,000ドルで済みます。さらに処理速度に優れているため、Intel Xeron は現時点で選択肢とはなりえません。」「Threadripper™ ワークステーションは非常に強力だったため、作業を継続しつつ、同時に複数のバックグラウンド・レンダリングを起動できました。」IT責任者、Shawn Wallbridge 氏
AMDテクノロジー概要: 32コアの AMD Ryzen™ Threadripper™ 3970X CPU
現代の映画に爽快感を与えるオールアクションの視覚効果を生み出しているのは、創造性と驚異的な演算能力の組み合わせです。アーティストが素晴らしいシーケンスを想像しても、それをレンダリングするのに時間がかかりすぎると、そのアイデアが映画制作の締め切りまでに実現できない可能性があります。
Blur Studio が Terminator: Dark Fate の重要なアクションシーンを引き受けたとき、新しいワークステーション・プラットフォームなら制作パイプラインを根本的に改善し、前例のないレベルのクリエイティブな作業が可能なことに気づきました。Blur Studio は、Terminator: Dark Fate の視覚効果の大部分を担当しましたが、その中でも重要なシーケンスは、映画のメインキャラクターの1人の人生の重大な岐路を描いた場面でした。「ドラゴンフライ」として知られるこのシーケンスは、ペースの速いアクションと驚異的なアニメーションのショーケースであり、完成させるまでに何時間もかかりました。しかし、AMD Ryzen™ Threadripper™ プロセッサーによって可能になった強化ワークフローがなければ、これほど大きなインパクトを与えるシーケンスにはならなかったでしょう。
AMD Threadripper™ CPU のパワーを発見する
「私たちはさまざまなオプションを探っていました。そんな時、所有していた AMD マシンを試してみたのです」と Blur Studio の IT 責任者、Shawn Wallbridge 氏は言います。「そのマシンを使い始めて、その驚くべき処理速度に度肝を抜かれました。それが第1世代EPYC™ 7351 だったわけです。」Wallbridge 氏はEPYC プロセッサーを高く評価しており、第2世代 AMD Ryzen Threadripper™ 2990WX プロセッサーをベースにした自分用のワークステーションを構築しました。「私はさらに感銘を受けました。信じられないほど速かった。」
この出来事は Terminator: Date Fate の仕事が始まった頃に起きました。「さらに何台かマシンを入手する必要があったので、『僕のThreadripper™ はかなりいけてるぞ』と周りに言いました」と Wallbridge 氏は続けます。「そこで、私は通常購入しているマシン、Supermicro の デュアル Xeon の価格を確認しました。すると、AMD を使用すればはるかに高いパフォーマンスを低コストを実現できることが分かりました。私はこの話を経理に売り込み、経理も話に乗ってきました。」
従来、VFX スタジオはローカル・ワークステーションでクリエイティブな作業を実行し、それをレンダリングしてどのように表示されるかを確認してから、調整を行って再度レンダリングします。アーティストはローカルマシンでテストレンダリングを実行できますが、そうすると、レンダリングが完了するまでアニメーション制作作業ができないということになります。あるいは、サーバー・レンダーファームの空きスロットを順番待ちします。通常、わずか数秒のシーケンスを完成させるのに20~30回の修正が必要になるため、多数のテストレンダリングを待つと、ワークフローが大幅に中断される可能性があります。「ドラゴンフライ」シーケンスには、14億もの膨大なボクセルが含まれています。しかしこのようなシーケンスの場合、達成できる精度レベルと、各デザイン・バージョンのテストレンダリングおよび修正にかかる時間との間はトレードオフの関係にあります。
多数のコアで作業負荷を軽くする
この事実は、32コアの AMD Ryzen Threadripper™ 3970X プロセッサーを搭載したワークステーションが革新的な性能を発揮することを証明しました。デザイン作業にもテストレンダリングにも優れていることが分かったのです。「Threadripper™ は V‑Ray ベンチマークでスコア約45,000ポイントを獲得していました」と Wallbridge 氏は説明します。「デュアルE5‑2630 V4 CPU をベースにした Xeon ワークステーションは約25,000ポイント前後だったため、その成績は狂気の沙汰のように思えました。」これは、アーティストがテストレンダリングためにレンダーファームの順番待ちするのではなく、自分たちのワークステーション上で実行できることを意味しました。「私たちはほぼ同時に配信される3つの大きなプロジェクトを抱えていました。テストレンダリングのひとつはファームで15時間待ちの状態でした。アーティストが同じレンダリングを自分のマシンで実行したところ、作業中であったにも関わらず、わずか5分で完了しました。」
これは、制作プロセスに大きな副次的影響を及ぼしました。「アーティストたちは短時間で処理を完了させ、クライアント、この場合は Blur Studio の創設者である Tim Miller ですが、彼の目の前で成果物を完成させ、コメントとフィードバックを得て、そのシーケンスをはるかに良いものにすることができたのです」とWallbridge 氏は言います。「Threadripper™ ワークステーションは非常に強力だったため、作業を継続しつつ、同時に複数のバックグラウンド・レンダリングを起動できました。ファームを利用する必要すらありませんでした。」このように、アーティストたちは処理を短時間で終わらせ、より優れた作品を生み出すことに成功しました。「煙の動きをシミュレーションする場合、粒子の数が多いほど、より現実に近い形で再現できます。このソフトウェアはマルチスレッドに対応しています。多数のコアが搭載されているということは、画像処理の高速化に役立ちます。
M&E で使用されるハードウェアでは本番ソフトウェアとの互換性が常に懸念されますが、AMD Threadripper™ CPU ベースのワークステーションはスムーズに動作しました。「私たちが早い段階で行ったことのひとつに、Intel マシンと AMD マシンで画像をレンダリングし、その画像をNuke に取り込んで違いを確認する、という作業がありました。問題はゼロでした。つまり、フレーム間のばらつきを気にすることなく、スタジオの制作環境内でこれら2つのプラットフォームを混在させることができました。」また、Blur は主に NVIDIA グラフィックス・ハードウェアを使用していますが、スタジオ内のすべての世代のAMD Threadripper™ CPU ベースのワークステーションで問題なく動作しました。
高速処理は高品質を意味する
AMD Threadripper™ プロセッサーのおかげで、Blur は他の方法では不可能だった締め切りに間に合わせることができました。「私たちは Terminator のトレーラーに取り掛かろうとしていました。Tim は制作中のショットの1つをトレーラー内で使用することを決めました」と Wallbridge 氏は言います。「最初はイチかバチかやってみようという感じでしたが、マシン環境のおかげで何とか締め切りに間に合わせることができました。それ以前に所有していた既存のワークステーションでは不可能だったろうと誰もが思っています。この時制作したシーケンスのおかげで、私たちの仕事は他のベンダーから品質上目標にすべき基準としての地位を与えられました。」Wallbridge 氏は、今後もプラットフォーム向上に取り組み続けます。「これ以上 Xeon を購入するつもりはありません」と彼は言います。「デュアル Xeon を搭載したワークステーションを構築するには、プロセッサーの費用として20,000ドルかかりますが、Threadripper™ 3990WX なら4,000ドルで済みます。さらに処理速度に優れているため、Intel Xeron は現時点で選択肢とはなりえません。
【Blur Studioについて】
1995年、アニメーターとアーティストがコラボレーションし、主導権を持ちながらクリエイティブ制作に打ち込めるスタジオとして、Tim Miller 氏が Blur を設立しました。それ以来、Blur はゲーム・シネマティクス、コマーシャル、長編映画などの分野にまたがる仕事を請け負う制作会社に進化し、名誉ある賞も受賞しました。クライアント、スタッフ、そして素晴らしいストーリーを語ることを大切にしている Blur Studio は、ハイエンドなアニメーション・スタジオとしてだけでなく、オリジナルのコンテンツ・クリエーターとしても成長を続けており、最近では Netflix 初のアニメーション・アンソロジー Love, Death + Robotsを制作指揮しました。Blur Studio の詳しい情報については、blur.comをご覧ください。
本導入事例のPDFはこちら。
脚注:
©2023 Advanced Micro Devices, Inc. All rights reserved. AMD、AMD Arrowロゴ、Ryzen、Threadripper、EPYC、およびその組み合わせは、Advanced Micro Devices, Inc.の商標です。
本記事に使用されているその他の製品名は識別目的のみに使用されており、所有するそれぞれの企業の商標である可能性があります。