導入事例 -【Cinesite】AMD EPYC™ CPU で高速レンダリングを実現

事例

2023-08-30更新

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Cinesite、AMD EPYC™ CPU でポストプロダクションをスーパーチャージ

AMD EPYC プロセッサーを搭載した Dell PowerEdge サーバーにより、より高速な映画のレンダリングを、より低コストで実現しました。

【概要】
業界:映画&テレビ番組のポストプロダクション
課題:映画「アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!」のポストプロダクションにおいて、優れたコスト・パフォーマンスのレンダリングを実現
解決策: AMD EPYC™ プロセッサーを搭載したDell PowerEdge サーバーを導入
結果: Intel ベースの製品よりも 30% 低いコストで、同等の演算能力を実現
お客様の声:「AMD EPYC により、必要な演算の総量に対する価格を著しく抑えることができ、約 30% も削減することができました。しかも、非常に簡単に導入することができるのです」
「Intel ノードでは1 つのジョブしか実行できませんが、AMD EPYCノードでは4 つのジョブを実行できるのです」
「必要となるラックが Intel ノードの半分の数で済むため、管理が容易になるだけでなく、購入しなければならないToR(top-of-rack)スイッチも少なくて済みます」
IT 責任者、Cinesite Vancouver ジェレミー・ブルソー(Jeremy Brousseau)氏
AMDテクノロジー概要: Dell PowerEdge C6525 サーバー AMD EPYC™ 7702 & 7662 CPU(64 コア)
テクノロジー・パートナー:Dell Technologies


Cinesite(シネサイト)は、30年余にわたり、映画やテレビ番組の視覚効果とアニメーションの最前線を走ってきた制作会社です。同社はこれまでいくつかの大ヒット映画を手掛けただけでなく、同社の複数の作品は殿堂入りを果たしています。Cinesite はロンドンの本社以外にモントリオールとバンクーバーに制作スタジオを構え、バンクーバーの Image Engine(イメージエンジン)およびベルリンとミュンヘンに拠点を置く Trixter(トリクスター)とも提携を図りながら、視覚効果とアニメーションの制作に取り組んでいます。同社の制作作業はすべて、演算パフォーマンスに大きく左右されます。

バンクーバーの制作スタジオが映画「アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!」のポストプロダクションを手掛けることになったことで、レンダリングのために卓越したハードウェアが必要となった同社は、AMD EPYC CPU を搭載した Dell PowerEdgeサーバーを導入しました。これにより、同社はまさに望み通りのパフォーマンスを得ることができました。

プロジェクトの「コア時間」の算出

Cinesite Vancouver で IT 責任者を担うジェレミー・ブルソー氏は、「バンクーバーのスタジオでは、劇場公開のアニメーションを制作しています。他のスタジオでは VFX を手掛けていますが、当スタジオには異なる要件があります。1 つの大規模な作品のために、一度に非常に高い処理能力が必要となります。『アダムス・ファミリー2』では、多くの大規模なアセットや大量のレンダリングが必要であっただけでなく、タイムフレームも細かく、アーティストには膨大なタスクが割り当てられ非常に負荷の高い内容でした。レンダリング、またレンダリング、毎日のようにレンダリングという状況だったのです」と説明しています。

こうした激しいポストプロダクション作業に対処するため、Cinesite はこの高いワークロード要求を確実にサポートできるレンダリング・インフラストラクチャーを確保する必要がありました。新たな映画のポストプロダクションに向けて準備を整えるため、「予想されるレンダリング要件を念頭に置いて、数ヵ月をかけて計画を策定しました」と述べたブルソー氏は、「作業に着手する際、部門は平均的なフレームにおける『コア時間』を推定します」と語っています。これは、平均的な演算コアで 1 フレームにかかるレンダリング時間です。同氏は、「そして、映画全体の完了までに週あたりにかかる時間を推定するのです」と説明しています。

この見積もりにより、プロジェクト完了に必要な演算能力がはじき出されます。こうして、Cinesiteは 2 つの戦略アプローチを講じることにしました。ブルソー氏は、「バンクーバーのコロケーション施設でベースライン置き、必要なときにのみクラウドにバーストするというのが当スタジオの計画でした。「3年間で継続的にノードを適切な時間使用できるのであれば、長期的には、クラウド・インフラストラクチャーよりもノードを購入するほうが手頃な価格になります」と話しています。しかし、すべてのコアが同等に構築されているわけではありません。同氏は、「フレームの平均的な処理時間は 10 時間でも、場合によっては 8 時間しかかからない場合もあれば、12 時間待たなければならない場合もあります。これを計算に入れなければなりません」と説明しています。

Cinesite には、Foundry や Autodesk® など、さまざまなソフトウェアが含まれるワークフローが存在します。しかし、バンクーバーのスタジオの主要なワークロードは、Gaffer ライティング・ソフトウェアを介した Autodesk Arnold® でのレンダリングです。このワークフローでプロジェクトのコア時間を推定できたら、ブルソー氏はプロジェクトをスケジュール通りに進行するために必要なハードウェアを判断することが可能となります。しかし、アーティストが効率的に作業を進められるように、十分な速度でフレーム処理を行うことも重要となります。

ブルソー氏は、「1 フレームに 200 コア時間かかる可能性があります。しかし、これは 1 つのコアで、実際に 200 時間をかけて 1 フレームを生成するという意味ではありません。フレームを適度な時間で処理して、アーティストが作業を極力早く再開できるように、30 個以上のコアを使用します。すべてはイテレーションにかかっています。制作タスクを終えてレンダリングを完了し、調整してまたレンダリングするという工程をより高速に処理できるほど良好です」と述べています。「アダムス・ファミリー2」の制作では、AMD EPYC プロセッサーにより、卓越したイテレーション・ワークフローが実現しました。同氏は、「常に密度が重要です。AMD の製品では、チップに 64 個の物理コアが搭載されていると聞いたとき、これは比較検討する価値があると考えたのです」と話しています。

より低コストでより高い演算能力が実現

ブルソー氏は、AMD EPYC が Cinesite のワークロードに最適かどうかを判断する必要がありました。同氏は、「AMD と Intel を比較してみました。演算における総合的なコストパフォーマンスを評価したかったのです。最終的に Dell によりこの評価が実現しました。テストでは、デュアル 24 コア Intel Xeon Gold 6252 CPU と デュアル 64 コア AMD EPYC 7702 プロセッサーを比較しています。

Intel にはOptane メモリーが搭載されています。これにより、0.5 テラバイトのRAM を購入する必要がないため、パッケージ全体の価格が低下します」と説明しています。

ブルソー氏は、「当社の古いアセットから『アダムス・ファミリー』(1991年の映画)をまず試しました。「ライティング責任者やパイプラインのスタッフと協力してシーンとアセットを Gaffer と Arnold のワークフローに変換し、3 ~ 4 つの異なるシーンでテストを実施しました。すべてがどのように機能するかを幅広く把握できるように、アセットが少ないシンプルな小規模ファイルやアセットが大きい大規模なファイルも使用しています。当スタジオで従来から使用していた Intel Skylake システムでベースラインを作成し、新しい Intel と AMD システムでこれと比較しました。AMD EPYC プロセッサーによりコア数は各チップあたり 2.5 倍となりました。必要な演算の総量に対する価格を著しく抑えることができ、約 30% も削減することができました。しかも、非常に簡単に導入することができるのです」と話しています。

しかし、ブルソー氏は、AMD プロセッサーの出力が Intel の出力に匹敵することを実証しなければなりません。同氏は、「画像がピクセル単位で同じになることを確認する必要がありました。これまで使用してきた Intel ノードでもレンダリングを行うことがあるため、わずかな違いも許されないのです。結果としては、すべてが一致していました。AMD EPYC プロセッサーについて抱いていた懸念は全くの無用だったのです。事実、これこそが低コストでより優れた能力を発揮するマシンです」と述べています。

必要に応じて演算能力をオンデマンドで拡張できる機能を維持しながら、演算機能への投資利益率を最大に高めることが Cinesite の戦略です。「演算のコストパフォーマンス」を最大化するためには、これが非常に重要となります。「アダムス・ファミリー2」の作業においても、最も集中的な生産期間には、大容量の演算をクラウドにバーストする必要がありました。ブルソー氏は、「AWSでは、2,400 のインスタンスで 170,000 vCPU に達しました。64 から 96 vCPU のインスタンスで、利用できるものはすべて使用しました」と説明しています。Cinesite は AMD EPYC を搭載したインスタンスと競合製品ベースのインスタンスを混合して使用したわけですが、ここでもどのプラットフォームを使用しても、レンダリング能力が同等であることを実証することが非常に重要となります。使用した AMD インスタンスは期待通りに動作し、優れたレンダリング・パフォーマンスを得ることができました。

重要なのは密度

Cinesite は、共同設置のプラットフォームとして、第 2 世代 AMD EPYC 7662 CPUを搭載した Dell PowerEdge C6525 サーバーを選択しました。ブルソー氏は、「長年にわたり、当スタジオは Dell のノードを使用しており、これを Puppet で管理しています。これにより、Dell の BMC の IPMI ツールの機能とうまく統合されます」と述べています。Intel から AMD プロセッサーに切り替えても、根本的な違いは発生しませんでした。同氏は、「実際に、ほとんど何も変更する必要はありませんでした。htop プロセス・ビューアのウィンドウで 256 のスレッドを初めて見たときは驚愕しましたが、これ以外はこれまでとほぼ変わりません」と話しています。

新しい EPYC CPU 搭載サーバーによりもたらされた主なメリットとして、Cinesite が各ノードでより多くのジョブを実行できるようになったことが挙げられます。ブルソー氏は、「Intel ノードでは 1 つのジョブしか実行できませんが、AMD EPYC ノードでは 4 つのジョブを実行できるのです。しかも、徹底的に速度を高速化する必要がある場合は、64 スレッドに制限されることなく、128 や 256 を使用することができます。高密度によりもたらされる別のメリットとして、購入しなければならないライセンスが少なくて済むことが挙げられます。たとえば、Arnold と Nuke™の場合、AMD EPYC CPU 搭載サーバーなら台数が少なくて済むため、必要なライセンスも 35% 少なくなります」と述べています。

また、「必要となるラックが Intel ノードの半分の数で済むため、管理が容易になるだけでなく、購入しなければならない ToR(top-of-rack)スイッチも少なくて済みます」と述べたブルソー氏は、「EPYC には著しいメリットがあります。AMD CPU の場合、ノード数はほぼ同じでも、約 5 倍のコアを活用できるのです。これだけ密度が高まったということです」と話しています。密度に関する AMD のロードマップにより、AMD が今後リリースする EPYC CPU を実に楽しみにしているというブルソー氏は、「当スタジオは、こうしたコアをすべて有効に活用できます。レンダリングにかける時間が少なくなることはありませんが、そのかわりに映像はますます素晴らしいものになります」と述べています。


【Cinesiteについて】
受賞歴のあるデジタル・エンターテイメント・スタジオ、Cinesiteは、創立から30年の歴史の中で、数百に及ぶ映画、テレビ番組、ストリーミング作品を手掛けてきました。同社の視覚効果とアニメーションのチームは、映画製作者のビジョンに息吹を吹き込むことに取り組んでいます。熟練したアーティストやエンジニアを擁するCinesiteは、映画製作者やスタジオと緊密に協力を図りながら、アニメーション映画の複雑な視覚効果や総合的な構想を実現する作業において、不可能を可能とする成果を達成しています。ロンドンの本社のほかにモントリオールとバンクーバーに制作スタジオを構えるCinesiteは、2015年以降、Image Engine(バンクーバー)とTrixter(ミュンヘン&ベルリン)という大手VFX制作企業を吸収合併しました。詳細については、cinesite.comをご覧ください。

本導入事例のPDFはこちら

脚注:
すべてのパフォーマンスとコスト削減効果の記載は Cinesite により提供されたもので、AMD が独自に検証したものではありません。パフォーマンスとコスト削減のメリットは、さまざまな不確定要素による影響を受けます。本ドキュメントに示されている結果は Cinesite 特有のものであり、一般的でない可能性があります。GD-181 を参照
©2023 Advanced Micro Devices, Inc. All rights reserved. AMD、AMD Arrow ロゴ、EPYC、およびその組み合わせは、Advanced Micro Devices, Inc. の商標です。Autodesk および Arnold は、米国における Autodesk, Inc. および/またはその子会社および/または関連企業の登録商標です。Nuke™ は、英国および/またはその他の国における The Foundry Visionmongers Ltd. の商標です。本ドキュメントに使用されているその他の名称は識別目的のみに使用されており、所有する各企業の商標である場合があります。

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