導入事例 -【Epic Games社】パフォーマンスと生産性の劇的な向上を実現!
2022-08-17更新
AMDの Ryzen™ Threadripper™ PRO プロセッサーCPUにより、Unreal Engine開発ワークフローを高速化
Epic Gamesには、30年近くにわたりゲーム開発業界で成功を収めてきた確かな実績があります。同社の最新プラットフォーム「 Unreal Engine 4 」は、PC、コンソール、モバイル端末において世界をリードするゲーム・エンジンです。Epic Gamesは、2018年に24億米ドル、2019年に18億米ドル超の収益を創出した世界有数のゲーム「 Fortnite 」を開発した企業でもあります。ゲーム開発業界においてこうしたトップの地位を維持するには、創造的な能力と最新テクノロジーの戦略的実装を兼ね備えた体制を整える必要があります。Epic Gamesは、開発チームに最高のハードウェアを提供し、デベロッパーの目標を最短で達成させることにより、業界におけるリードを維持しています。同社は、この絶え間ないスピードの必要性に応えるために、ワークフローのパフォーマンスを次世代レベルに引き上げる AMD Ryzen™ Threadripper™ プロセッサーを採用しました。
【概要】
業界:メディア&エンターテイメント、ゲーム&ソフトウェア開発、AEC
課題:コードのコンパイル・プロセスを合理化し、イテレーションとシェーディングの時間を短縮することが課題となっていました。 また、コロナ禍の状況を踏まえ、エンジニアが自宅で迅速かつ効果的に作業に取り組める環境を確立することを目指していました。
ソリューション:Epic Games は、これまで使用していたワークステーション CPU に代わり、AMD Ryzen™ Threadripper™ 3970X/ 3990Xと AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 3995WX を採用しました。
結果:ワークステーションに Threadripper™ を採用したことで、Epic はクラウドでコアを追加することなく、従来よりもはるかに高速にエンジンをコンパイルできるようになりました。 また、イテレーションとシェーダーのコンパイル時間が大幅に短縮されました。
お客様の声:「どの価格帯かに関係なく、Threadripper™ 3990X CPUに匹敵する製品は他に存在しません」パット・スワンソン(Pat Swanson)氏、エンジニア
「この結果にはただ驚愕しました。結果を見たエンジニア達が『このCPUを使いたい』と希望したのです」アンドリュー・グラント(Andrew Grant)氏、テクニカル・ディレクター
「 Threadripper™ を活用することで、従来よりもはるかに高速にエンジンをコンパイルできるようになりました。これにより、チームのすべてのエンジニアの効率が著しく向上しました」ニック・ペンワーデン(Nick Penwarden)氏、エンジニアリング担当副社長、Epic Games
テクノロジー概要:AMD Ryzen™ Threadripper™ & AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO CPU
ゲーム業界に留まらない幅広い分野でリアルタイムを強化
1,100万を超えるライセンシーを有するUnreal Engineは、メディアやエンターテイメント、ライブ・イベント、自動車、建築、ヘルスケア、シミュレーションなど、ゲーム業界に留まらない幅広い分野で急速に普及しています。2016年以来、Unreal Engine4は、「マンダロリアン」、「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」、「HBOのゲーム・オブ・スローンズ」、「ウエストワールド」など、120作品を超える映画やテレビ番組で使用されてきました。
自動車業界では、設計やエンジニアリングから最終的なセールス、マーケティングのレンダリングに至るまで、Unreal Engineはあらゆる段階で活用されています。業界をリードするオンライン雑誌「CG Architect」の調査によると、Unreal Engineは2016年以来、建築業界における最高のリアルタイム・レンダリング・ソリューションとして評価されており、HKS、Foster+Partners、ZAHA Hadlid、Zoanなどの世界有数の企業で使用されています。
しかし、こうした多種多様なシナリオすべてに対応できる柔軟性を備えたエンジンを構築するには、可能な限り厳密なコードが必要となります。Epic Gamesは、開発当初からこの重大な課題を解決しようと、極めて困難な課題に挑戦してきました。Epic Gamesでエンジニアリング担当副社長を務めるニック・ペンワーデン氏は、「最も一般的なワークフローの1つは、コードのコンパイルです。つまり、大規模に並列化できるプロセスです。コードを迅速にコンパイルしてイテレーションできる機能は、当社の品質において非常に重要となります」と説明しています。
チームは、高いクロックスピードと高い並列処理の両方を同時に実現できるソリューションを見つけることができませんでした。エンドユーザー・チームのITエンジニアであるパット・スワンソン氏は、「コンパイルで5分~10分節約できても、リンク処理で5分かかるのでは話になりません。これは大きな課題でした」と述べています。こうした状況の中で同社は、分散ビルド・メカニズムの必要性に応え、チームが望んでいた迅速なコード・イテレーションを実現できる1つのデスクトップ・ソリューション「 AMD Ryzen™ Threadripper™ 」に遭遇したのです。
既成の概念を一変したAMD Ryzen™ Threadripper™ CPU
さまざまなワークロードで AMD Ryzen™ Threadripper™ を試したEpic Gamesは、このプロセッサーのパフォーマンスに驚愕しました。「32コアと64コアを搭載した第3世代 Threadripper™ CPU により、既成の概念が一変しました」と述べたEpic Gamesの特別プロダクト・グループのテクニカル・ディレクター、アンドリュー・グラント氏は、「これまで使用していたハードウェアで自社用に構築したシステムをはるかに凌ぐ高いプロセッシング・パワーが実現しました。これは当社の重大な分岐点となりました」と話しています。
グラント氏がUnreal Engineのワークロードにおいて実行したテストでは、驚くべき結果が得られました。ソフトウェア実行ファイルの内部エンジン・ビルド・テストでは、10コアの Intel® Core™ i9-9900X (イベント・デモを使用)では46分43秒かかりましたが、32コアの Threadripper™ 3970X の場合は3分1の未満に相当する15分12秒で完了しました。同じテストで、10コアの Intel® Core™ i9-10900X (これもイベント・デモを使用)では40分34秒かかりましたが、64コアの Threadripper™ 3990X ではわずか12分で完了しました。コンテンツをエンジンに統合するクック・テストにおいては、 Intel Core i9-9900X と10900Xでは、 Threadripper™ 3970X と 3990X よりも約60%長い時間がかかりました。また、コア数を少なくしたタスクやIncrediBuildの分散コンピューティング・プラットフォームによるタスクなどの他のシナリオでも、 Threadripper™ でほぼすべてにおいて顕著なパフォーマンス向上が確認されました。
全体として、すべてのコアを利用できるタスクにおいては、第3世代 Threadripper™ CPU は、チームが使用していたデュアル12コアXeonシステムよりも60~100%優れたパフォーマンスを発揮し、コスト削減でもメリットが得られました。 Threadripper™ があまりにも高速であったため、スワンソン氏は結果が正しくないのではないかと不安になり、ベンチマークを数回実行したほどです。結果を見て感激したグラント氏は、「この結果にはただ驚愕しました。結果を見たすべてのエンジニアが『このCPUを使いたい』と希望したのです」と述べています。
自宅で作業するデベロッパーのために、パフォーマンスを強化
1つの Threadripper™ でIncrediBuildを使用するよりもパフォーマンスが向上したことで、Epic Gamesは主要なエンジニアリング・チームのメンバーに Threadripper™ CPU ベースのワークステーションを提供することにしました。
グラント氏は、「当社のエンジニア全員が Threadripper™ を使用して、さらに2台目のマシンをビルディング・システムとしてアクセスできるようにすることが目標です」と語っています。
非常に多くのコアを搭載し、非常に高速なパフォーマンスを発揮する新たな Threadripper™ CPU により、チームのエンジニアとデベロッパーは、以前とは異なり、一度に複数のプロジェクトに取り組むことができるようになりました。ペンワーデン氏は、「 Threadripper™ を活用することで、従来よりもはるかに高速にエンジンをコンパイルできるようになりました。これにより、チームのすべてのエンジニアの効率が著しく向上しました。コードのコンパイルに費やす時間を短縮できるため、機能の開発、機能のテスト、Unreal Engineの改善に一層多くの時間を費やすことができるようになりました」と話しています。
Threadripper™ を導入したことで、これまでかかっていた数分の一の時間でイテレーションを完了できるようになりました。シェーダーのコンパイルと再構築もはるかに高速になりました。現在、チームのエンジニアとデベロッパーは複数のタスクに取り組みながら、以前は30分~40分かかっていたエンジン全体の再構築をわずか10分未満で完了できるようになったのです。
生産性の向上
Epicが自宅で作業する主要なエンジニアを対象として Threadripper™ ワークステーションを展開したことで、この大きなメリットが改めて証明されました。スワンソン氏は、「これにより、オフィスのユーザーが節約できた時間は10分~15分でしたが、自宅で作業するユーザーには数時間を節約できるというメリットが得られたのです。多くのリモートワーカーが得ている高いメリットを知った他のユーザーたちは、競うようにして自身で Threadripper™ CPU を購入して、自宅で利用するようになりました」と説明しています。
Epicチームは、 Threadripper™ CPU に移行したことで、組織内の士気も高まったと話しています。スワンソン氏は、「どの価格帯かに関係なく、 Threadripper™ 3990X CPU に匹敵する製品は他に存在しません。別のメーカーの2万ドルのチップと比較しても、 Threadripper™ は同等またはこれを凌ぐパフォーマンスを発揮します。問題は価格自体ではありません。価格パフォーマンス比で考えれば明白なことですね」と述べています。
【Epic Gamesについて】
Epic Gamesは、1991年にティム・スウィーニー(Tim Sweeney)最高経営責任者(CEO)が設立した米国企業です。本社をノースカロライナ州ケーリーに置く同社は、世界各地に40を超える拠点を擁しています。今日、3Dエンジン・テクノロジーにおける主要なインタラクティブ・エンターテイメント企業&プロバイダーに成長したEpicは、3億5000万を超えるアカウントと25億のフレンド接続数を誇る世界最大級のゲーム「 Fortnite 」の運営企業でもあります。Epicは、世界の主要なゲームを駆動するUnreal Engineを開発した企業です。同エンジンは、映画やテレビ、建築、自動車、製造、シミュレーションなどの業界でも採用されています。Epicは、Unreal Engine、Epic Gamesストア、Epic Online Services(EOS)を通じて、デベロッパーやクリエイターがゲームや他のコンテンツを構築、配布、運用できるエンドツーエンドのデジタル・エコシステムを提供しています。詳細については、こちらをご覧ください。
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